御召着物とは織りのきものでの一種で、小紋と紬(つむぎ)の中間のよそゆき着です。
男性、女性ともに御召はあつかわれていて、男物の無地御召の場合は一つ紋を入れると茶席やフォーマルなど略礼装として活用されています。
光沢とシャリ感があり、高級感があるコーディネートを楽しむことができます。
男女ともに御召着物はありますが、今回は女性用の御召についてご説明します!
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御召はどういう着物?
御召とは御召縮緬(おめしちりめん)を略したもので、織りの着物の中でも最も高級とされ、いちばん格上になります。
紬や木綿と同じ織りのきものですが、御召は御召糸(おめしいと)を使って織ったもので、生地の表面に細かいしぼがあるため縮緬の名前がついています。
御召糸とは、セシリンというタンパク質を落とした「先練りの生糸(きいと)」を染色した糸で、繊維の束をねじる「撚り(より)」を緯糸(よこいと)にかけて織り上げることにより御召の生地が出来上がります。
強撚糸(きょうねんし)で織られた生地には、しぼが現れ、しゃり感のある手触りと紬よりも軽い着心地、やわらかな手触りが生まれます。
産地は、京都の西陣で織られる西陣御召(にしじんおめし)や新潟県の塩沢御召(しおざわおめし)、山形県の白鷹御召(しらたかおめし)が有名で、ほかの御召と同様に緯糸に強撚糸を用います。
縮緬の生地とはちがい、強撚糸の御召は湿気に弱く縮みやすいこともあるので、扱いには注意が必要です。
御召は染めと織りのきものの中間のような着物なので、染めの小紋や織りの紬と同じように、観劇や食事会、お稽古など幅広く活躍します。
紋を付けたり、格上の帯を合わせればパーティなどのよそゆきなどにも着ていけます。
御召の歴史について
江戸時代、もとは柳条縮緬(りゅうじょうちりめん)と呼ばれていました。11代将軍の徳川家斉(とくがわいえなり)が好んでお召しになったことから、御召の名前がついたとされています。
明治から昭和にかけては、色無地の次に使い勝手のよい西陣御召が用いられました。明治時代の女学生の袴姿でおなじみの矢絣柄の御召はその当時の憧れの着物でした。
戦後までは準礼装として、またお洒落着として流行し、どの家庭にも必ず御召がありましたが、染めの着物が礼装の定番になると、現代では御召を着用する人が少なくなり生産数も減少しました。
御召の種類
御召は柄や風合いによっていくつかの種類があります。代表的な柄は縞や絣ですが、現在は無地に刺繍で柄をつけたものなど、バリエーションが増えています。
無地御召(むじおめし)
定番の生地で、柄のないシンプルな御召です。刺繍紋をいれれば略礼装になり、袋帯や織りの名古屋帯を合わせれば改まった装いとして着ることができます。
特に無地のシンプルな生地は女性用のみならず男性用の着物にもよく使われます。
縞御召(しまおめし)
縞柄を織りあらわした御召で、徳川家斉が着たものが縞御召です。大名縞(だいみょうしま)、万筋(まんすじ)、棒縞(ぼうじま)や子持ち縞(こもちじま)など、さまざまな種類の縞柄があります。
絣御召(かすりおめし)
文様が織りあらわされた御召です。大正から昭和初期にかけてジャガード機の普及により生産性が向上し、さまざまな絣がつくられました。矢羽根絣が有名で、ほかにも十字絣や蚊絣など多数あります。
紋御召(もんおめし)
無地御召に地紋が配された御召です。文様の光沢が所作により現れます、いろいろな表情をだします。色無地のように着ることもでき、帯合わせ次第で、幅広い場面で着ることができます。
縫い取り御召(ぬいどりおめし)
模様の部分を金糸や銀糸、色糸で縫い取った刺繍のような御召で、一昔の御召着物によく見かけます。現在では無地感覚で紋をつけたり、帯の格を上げれば格のある着物になります。
上代御召(じょうだいおめし)
紬のような素朴な風合いが特徴の御召で、御召緯(おめしぬき)という特殊な強撚糸と通常の撚糸を合わせて織ります。文様を織り出したものは紋上代御召(もんじょうだいおめし)とよびます。
風通御召(つうふうおめし)
表と裏に異なった色糸を使い、表と裏の文様が反対の配色になるよう二重組織で織った御召です。ジャガード機の普及とともに発達し、一昔前の着物にもよく見かけます。両面使えるリバーシブルな御召もあります。
まとめ
女性用の御召はきもの通や茶人に好まれています。
今では技術が発展し、ほとんど縮みまないものもあります。
無地御召を選び、織り帯を合わせると、現代風のモダンな装いにもなります。
紬とは違い御召だと、格のある場所へでも着ていくことができますので、ぜひご活用ください!