帯留めとは、帯締めと一緒に帯につけるアクセサリーの一つです。帯締めに通し、帯の正面を彩る細工物でさまざまな種類があります。
主にカジュアルのきものに着用しますが、礼装用の豪華な帯留めもあります。
今回はこの帯留めについてわかりやすくご紹介します!
帯留めとはどんなもの?
帯留めはアクセントをつける役割として、アクセサリー感覚でつけます。
自由に遊べるのが帯留めの魅力で、素材や大きさによっても雰囲気が違ってきます。
帯留めを使うときは通常使う帯締めではなく、三分紐や二分紐など金具に合わせて細い紐を使用します。
アクセサリーの一つですので、かならずしも着用しなければならないということはありません。またフォーマルにも着用することができますが、格に合わせて吟味する必要があります。
現在のような帯留めが使われ始めたのは明治時代になってからです。江戸時代までは止め金具のみで装飾としては使われていませんでした。明治になると廃刀令によって武士の刀の鍔(つば)などをつくっていた職人たちは仕事にあぶれ、そこで組みひもに通す細工を作るようになりました。帯に留める金具に飾りが使われるようになり、これが装飾性のある帯留のはじまりといわれています。
帯留めのTPOについて
ジュエリーと同様に、出かける場所に合わせて素材を選んだり、着用時季によって季節感を表現するなど、きものとのバランスで帯留めを着用します。
モチーフのある帯留はコーディネイトの主役としても楽しむことができ、季節のモチーフなら季節の着こなしを、縁起物のモチーフなら意味を持たせた着こなしができます。
フォーマルの帯留め
フォーマルシーンで合わせる帯留めは、宝石類など高級感のあるものが一般的です。また帯締めを通す台(だい)の部分もプラチナなど貴金属が使用されているものもあります。
第一礼装では、黒留袖にはパールや蒔絵など、白や金銀、黒を基調としたものを、そのほかの礼装用には、パールやダイヤ、エメラルド、サファイア、ルビーの五大宝石がよく合います。
装いの格調高さと重厚感を損なわない帯留めで、品のいいものであれば珊瑚や瑪瑙(めのう)などの貴石も着用できます。
ただしお茶会では、道具を傷つけることがないように身につけないのが礼儀です。
カジュアルの帯留め
カジュアルな装いなら、素材や形、大きさなどを好みで選ぶことができ、帯留めのおしゃれを自由に楽しめます。
着て行く場所や季節、イベントに合わせて着飾るとおしゃれ度が上がります。
洋装のブローチを帯留めとして使うこともでき、また裏に帯留め用の台を取り付けてオリジナルの帯留めを作るのも楽しみ方のひとつです。
帯留めには夏用・冬用はとくにありませんが、夏の暑い時期には涼しげに見える色や、半透明のクリアなタイプの素材を選ぶと清涼感がでます。また、浴衣にはガラス製のとんぼ玉がカラフルで夏にぴったりです。
帯留めの素材
礼装用に使う宝石や貴石のほかにも様々なものが帯留めとして作られています。
帯留め一覧
鼈甲(べっこう):ウミガメの一種のタイマイの甲羅加工品で、半透明の黄色や黒色が特徴。
珊瑚(さんご):海の中にあるサンゴ礁を形成したもの、赤色が濃いほうが貴重。
蒔絵(まきえ):漆で絵を描き、絵が乾かないうちに金銀、色粉を蒔いて装飾したもの。
彫金(ちょうきん):金属を彫り、装飾加工したもの。
木彫(もくちょう):木を彫り、装飾加工したもの。
陶磁器(とうじき):土を焼いて固めて成形したもの。
七宝(しっぽう):金属を焼いて固めて成形したもの。
とんぼ玉:ガラスを丸く加工したもの。蜻蛉の目に似ていることから名前がついた。
帯留めのデザイナーや作家も数多くおり、この他にもたくさんの素材の作品が作られています。
まとめ
つけるだけでも楽しい帯留めは規則性はありませんが、帯の柄がない部分に帯留めを付けるとさらに引き締まって良くまとまります。
最近ではアンティークの帯留めも人気で、コレクターも数多くいます。
普段着として着るきものの帯留めの楽しみも味わいつつ、いろんな帯留めをコレクションしてみてはいかがでしょうか!