下駄とは和装の履物の一つで、着物用として主にカジュアルや普段着用などに使います。
女性がきものを着た時に履くものは草履と下駄の2種類あります。
草履との違いはおもに4つで、下駄は素材が木でできていること、草履より格式が低いこと、足袋をはかず素足でも履くことができること、裏面の形が多様であることです。
浴衣を着た時に下駄を履いた人も多いと思います。今回はそんな下駄についてご紹介します!
下駄ってどんなもの?
和装の履物は主に、草履はフォーマル用、下駄はカジュアル用に分別されます。下駄とはどんなものかみていきましょう。
部分の名称
足を乗せる台(だい)に足を固定する鼻緒(はなお)がついており、台と鼻緒の繋ぐ前つぼ(まえつぼ)を指で挟んで履きます。
裏面は歯(は)がついており、形状や幅、形によって下駄の名前が変わります。また前つぼの結び目を隠すものとして、裏面に前金(まえがね)がついている下駄もあります。
雨の日には着脱できるつま先カバーの爪皮(つまかわ)をかぶせて雨や泥から守ります。
下駄の素材
下駄は木で作られており、桐材が一般的です。何も塗ってないそのままの状態を白木(しらき)といいます。
台の柄にはその他にいろいろな種類があります。
台の素材
塗り装飾:木製の台に漆などをぬった下駄。黒色が多い。
焼き木目:台を火であぶり焼きにしてニワカで磨き上げた下駄。こげ茶色が多い。
鎌倉彫り(かまくらぼり):台に文様を彫って漆を塗った下駄。絵柄には様々なものがある。
桜張り(さくらばり):山桜の樹皮(桜皮)を台の表面に張り付けた下駄。秋田の伝統工芸品。
柾目(まさめ):縦に平行に通った木目の下駄。柾目の本数にも違いがある。
歯の下駄底部分は木の素材のままですが、滑り防止や防音のためウレタンなどゴムが張られたものもあります。
鼻緒部分は布や革製、ポリエステルなど色々なものがあります。
鼻緒が細めだと足元がすっきりと見える印象で、太めだともっさりとしますが履き心地が良くなるという利点があります。
下駄の歴史
下駄の歴史は古墳時代にまでさかのぼり、田下駄(たげた)と呼ばれる田植えに使う木製の履物が使われていました。
平安時代や鎌倉時代ではおもに修行僧が履いていたシンプルな下駄が多く、庶民は草履が主流でした。牛若丸(うしわかまる)が履いていた一本歯の高下駄(たかげた)が有名ですね。
二本歯の下駄が流行り、一般庶民に普及して装飾的になったのは江戸時代以降です。昭和になると草履の発達により、下駄は普段用や浴衣用に用途が変わっていきましたが、現代では種類も豊富になり様々なシーンに着用されています。
下駄の種類について
下駄は裏側の歯の形状によっていろんな種類があります。
駒下駄(こまげた)
二枚の歯がある下駄で男女ともにある代表的な形です。男性用は幅が広く、女性用は細身の作りです。日本橋芳町の芸者さんが高さのある下駄を好んだことから芳町下駄(よしちょうげた)とも呼ばれます。
舟形下駄(ふながたげた)
小判型の草履に近い形の下駄で、歯がなく平らなのが特徴です。また草履に似ているので素足のままでも、足袋を履いて着用もできます。
右近下駄(うこんげた)
台にカーブがついているのが特徴的な小判型の下駄です。草履のような形状をした高さの無い二本足の下駄で、裏面がウレタンになっているのが多いです。舟形下駄の底面をくり抜いたような作りです。
千両下駄(せんりょうげた)
二枚歯で前歯が斜めになっているのが特徴です。重心が前のめりなので、別名のめりともいいます。横から見ると「千」の文字に見えるのが由来ともいわれています。
後丸下駄(あとまるげた)
前歯が斜めになっている二枚歯の千両下駄に似ているが、後ろ歯がかかとまであり、太く安定しています。後付けの歯と違い、歯の間部分はくり抜いて作られます。女性用は小町下駄(こまちげた)とも呼ばれます。
日和下駄(ひよりげた)
細く薄い台と二枚歯が特徴です。地面のあたる面積が少なく雨水が跳ねないので、雨下駄としてよく使われます。地方によって利休下駄(りきゅうげた)とも呼ばれます。
こっぽり
高さのある下駄で、台の底がくりぬかれていています。ぽっくりとも呼ばれます。おもに舞妓さんや舞台、子供用の履物として使われており、蒔絵などの豪華な装飾がほどこされたものもあります。
現在ではヒール草履として成人式や卒業式の振袖にあわせて履くことも多くなっています。
まとめ
カジュアル着物では草履か下駄かのルールはなく、カジュアルな草履と同じ感覚で履けるオシャレ着に似合う下駄も増えています。
鼻緒もすげ替えることができるので、単色のものやストライプなどの柄物など手持ちの着物の色や雰囲気に合う鼻緒を楽しむこともできます。
木製の天然素材は長く履くことができるので、愛用の一足をぜひ探してみてください!
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